漢方に関するお役立ち情報

漢方に関するお役立ち情報

「引経報使」をご存知でしょうか?(医師・薬剤師の先生方へ)

「引経報使」説は、中国の宋~金時代に活躍した成無已(1060年頃~1150年頃)が提唱したものです。その説とは・・漢方薬処方は特異的に働く経絡があり、十二経脈の中から病的状態の原因になっている経脈を特定する。次にその経脈に作用する薬方群の中から患者様に最も適したものを選ぶ方法です。この理論は金・元医学で取り上げられたものの、その後は根拠のない理論として顧みられなくなってしまいました。しかしその理論を参考に薬方を選ぶと驚くほどの効果があることを知りました。

ここで一つの症例を報告します。手の陽明大腸経に経脈の変動がみられる患者様の場合。手の陽明経に働く薬方群の中から「桂枝茯苓丸」を選び服用していただいた。この例は48歳男性でベーチェット病を長年患っている方で、視力が衰えて日常生活が少し不自由な患者様でした。東京大学医学部附属病院を受診されていて、漢方薬治療もと希望され2019年8月10日初来局。「はじめて漢方薬をのんだが、おなかが楽になった。」(本人談)以来月2 回のペースで間もなく1年近くなるが続けていただいている。この間桂枝茯苓丸をずっと服用していたのではなく、洗肝明目湯、滋腎明目湯、五積散、乙字湯などと、変方してきた。勿論のこと来局時には経脈診をして前述の薬方へと変方を重ねてきたことは言うまでもない。その後、本人が言うには「漢方薬を飲んでから、とにかく体が軽くなってきて楽になった。このまましばらく続けてみたい。」とのことです。

この患者様以外にも「良くなった。」「楽になった。」とのお言葉を多くいただいています。中でも呼吸器症状や皮膚病の患者様の場合、"せき"の改善や皮膚症状の改善は客観的に判断できる材料ですので引経報使理論のすごさを認識できています。

元来、漢方薬は漢代の傷寒雑病論を代表格として六朝~随~唐~宋代にはほとんどの薬方が考案され、以来利用されてきたものです。が、しかしその運用はなかなか難しいもので、古典を読むなどしっかり勉強を積み上げたにもかかわらず、ある種の壁に阻まれてなかなか成果が出せていないと悩んでいる先生方が多いのではないでしょうか。ここは年齢と経験を積み重ねてきた私の役目と考え、今後ご縁のある先生方に理論と運用技術をお伝えできれば幸甚の感でございます。

少陽三焦経の変動を調えて大学合格できた高校生

3年半程私共薬局の漢方を服用していただいて、とても良くなり、この春(2016年)に大学合格できて、ひとり暮らしを始める女生徒についての報告です。
初来局(初診)は中学3年生の時。小学生と見間違うぐらいの背格好で、私共に来ていただくまでに、小児科、内科、心療内科等の受診歴がありました。食が細く元気がなく不眠もあり、昼夜逆転の生活のため学校に通えていない状態が続いていたとのことでした。
早速漢方の経穴(ツボ)診断をしてみたところ、『少陽三焦経の変動』が主たる原因であることが判り、三焦の治療を始めることになりました。
三焦は五臓六腑のうち、人体を構成する六腑の一つです。他の臓器との違いは、形はないが機能があるということ。水(津液)を、上焦、中焦、下焦の全身に巡らす働きがあります。

五臓 = 肝・心・脾・肺・腎
六腑 = 胆・小腸・胃・大腸・膀胱・ 三焦

この患者様の場合は、三焦をメイン治療、他の臓器、経絡をサブ治療として三年以上続けて、とても良くなり喜んでいただいた3月に大学合格の吉報を聞き、治療の手助けができたことを嬉しく思っています。
このように、正しい診断(漢方的経穴診断)と年月をかければ良い結果が得られることと、伝統に裏付けられた漢方医療の力を再確認できた次第です。

自分に合った漢方薬をのむと・・・

「本当に気持ちよく効いて、体が楽になって、軽くなった感じがする。」
「朝まで夢も見ないでぐっすり眠れて気持ち良く起きられた。」
「胃が悪くてのみはじめたら、のんだ直後からお腹がグーグー鳴って食事が美味しくてしかたない。」
「発作の回数が少なくなってきて、呼吸が楽になった。それに子供の学校行事に参加しても疲れを感じることが少なくなってきた。」
これらは再診時に患者さんが言われていたほんの一部です。
でも、この通りだったら全く直ぐに治ってしまうのですが、残念ながらそうではありません。

漢方薬は副作用がなくて長く服用すると効いてくる・・・これが一般的な常識ではないでしょうか。
A図のように日にちの経過と共に治癒率が上がるのが理想的。でも実際はそうではなくB図のように段階を踏んで効いてくるのが現実です。
図の↓のタイミングが重要なポイントです。
前述の患者さんの言葉はこの直後の感想でした。はっきりと自覚するほど効いて、その後プラトー(変化が見られない)状態が続いて、次にお薬が変わったら、また楽になった感じがして、結果長期的に見ると日が経つにつれてだんだん良くなってきた。これが漢方薬治療の特徴なのです。
体は刻々と変化していて、服用すると必ず変化します。特に大きな変化が↓の時ですので、これを見落とさないことが大切です。
シンアイ薬局では、1~2週間毎の診断・処方をお薦めしています。お体に最適な漢方薬を服用していただくために大切な要件と考えています。

漢方は足し算ではない

漢方薬を続けて服用されている方がカゼをひいた場合は、今のんでいる漢方薬にカゼの漢方薬を追加しても良いか?

答えは否です。
カゼをひくと、体はまず「カゼを治したい」というふうに変わります。したがって今のんでいる漢方薬は中断し、カゼに適した漢方薬を服用して治療に専念します。後にカゼが治ったところで、元の漢方薬にもどっていただくことになります。
この一連の流れは、診断結果に基づいてのお話です。
再診時に「ああ、外感病の反応が出ています。カゼをひいていらっしゃいます。風寒の邪が入ったので、適・不適診の結果この漢方薬をおすすめします。
いつものお薬はカゼが治るまで中断して下さいね。」と説明して納得して服用し、次に来ていただいた時に「先生、とても楽になりました。カゼだったんですね。」となります。
漢方治療は、病院での処方薬のような足し算にはならないのです。私どもでは日常よくあることです。
カゼは万病の元と言われています。早めにタイミング良くキャッチしてその時々のカゼに合った漢方薬で治しましょう。

漢方が効く病気は何ですか?

よく「漢方が効く病気は何ですか?」と質問をいただきます。残念ですが・・・その病名は言えません!

なぜなら、そもそも病名は西洋医学・現代医学の名前が一般的だからです。現代医学と東洋医学=漢方医学は全く考え方が違っています。

漢方は陰・陽・五行(木・火・土・金・水)の気の変動や偏り、滞りを調べて治療が始まります。そうです、漢方医学は気の科学と言っても過言ではありません。

漢方の病名の例えを挙げましょう。

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